melophobian

安川奈緒の現代詩手帖掲載詩などを写経のように書き写す。

「まちがえて海にくるか?」安川奈緒

とつぜん海にでる

わけない

「この砂はどこからくるのか」

まちがえて裸んぼ

ラジオを飲みこむ

 

お腹いっぱいになって深く眠る

両親を殺すひきこもりの感じで

指に力が入る

「むかしピアノを習ってました」

 

小学校の遠足のマネして

「はやく年寄りになりたいね」

貝殻を拾おう 海草にさわろうよ

でも

海をわたって病院にきてしまった

 

いちばん大事なヒトは眠り続ける

いつあなたがすきだったかな?

 

自分を殴るのがやめられない

顔を平手打ちして

頭を壁にうちつけて

ほんとうは

あたらしいところに行きたかったし

めずらしいものを食べたかった

「あれはいつのことだったでしょうね」

カモメにえさなんてあげないよ

自分で食べちゃう

砂浜とか嘘だろ 埋め立てだろ

なんどでも死んで

なんどでも生きかえる

はずかしいほどに